石けんが身体や環境に優しいのは、「ミネラルに弱い」「酸に弱い」「うすまると洗う力を失う」という特性によるものです。
たとえば、身体を洗うとき。
石けんは水でさっと流せばもうそれ以上皮脂を取ることがない。肌が荒れているときに皮膚科医が石けんを勧める理由のひとつがこれです。
また、使ったあと排水として放出されてもすぐに石けんカスになるから、よほど大量に使わない限り浄化槽のバクテリアや水生生物に悪さをしません。
「アルカリ性の石けんは皮膚に対して悪影響を及ぼすから、弱酸性の合成洗剤の方が皮膚に優しいのでは」との見解がありますが…
安全な洗剤として最も大切なのは、皮膚に残留、浸透しないことです。
脱脂力が強い合成洗剤は、皮膚を保護する肌の皮膚のバリアを溶かしてしまう働きがあります。タンパ???質変成作用といいます。
一方、弱アルカリ性である石けんは、皮脂や汗など肌の汚れなどの酸性物質で中和されて
すぐに石けんカスになるから、石けんそのものが皮膚に残留、浸透することはありません。
皮膚への浸透がなければ角質層タンパク質の変性は起きません。だから、石けんは刺激物ではないのです。
「清拭に従来からのアルカリ性石鹸ではなく,弱酸性石鹸を使用することの根拠は明らかにならなかった。」との研究報告があります。(注1)
また、皮膚科医の多くは、「石けんを使わないと皮膚によごれ(汗、あか、ふけなど)がたまってきます。皮膚のよごれはかゆみを強くしアトピー性皮膚炎を悪化させます」「低刺激性の石けん、弱酸性の石けんは、刺激は少ないのですが、洗浄力が劣ります。 長い間使っていると皮膚によごれが残り全身のかゆみがひどくなります」と指摘しています。(注2)
(注1)
弱酸性石鹸を用いた清拭の皮膚への影響 ─アルカリ性石鹸との比較において─
愛媛県立医療技術大学紀要 第1巻 第1号(pdf)
(注2)
滋賀医大病院ニュース から「アトピー性皮膚炎の生活指導と治療」(pdf)
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