「水道水質基準ガイドブック」の「概要」に以下のような記述があります。
「石けんの泡立ちがよい水を、軟らかい水または軟水といい、反対に泡立ちの悪い水を硬い水または硬水といっている。水の硬度とは、この硬さの程度、いいかえると石けんの使いやすさの程度を数値をもって示したものである。
硬度(総硬度)は、化学的には、水中のカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンの量を、これに対応する炭酸カルシウム(CaCO3)のmg/に換算して表したものである。」
(日本環境管理学会編「改訂第2版水道水質基準ガイドブック」丸善株式会社)
また、食品安全委員会清涼飲料水評価書(2017年4月)の「カルシウム・マグネシウム(硬度)」には、硬度と石けんについて以下のように書かれています。
「硬度は、石鹸と反応する水の能力の伝統的な尺度であり、硬水は、石鹸の泡をたてるのに、非常に多くの石鹸を必要とする。」
日本の硬度の水道水質基準は、硬度が高いと石けんの泡立ちが悪くなることから300mg/L以下となっています。
WHOのガイドライン値は500mg/Lで、「味覚および家庭の水使用を考慮して設定された。」と記されています。
欧米のように石灰質の地域を長い時間かけて通ってくる水の硬度は高く、日本のように地中での滞留時間や河川延長が短い場合、硬度は低めになります。
水は硬度測定法によって算出された「硬度」の値によって、硬水・軟水に分けられます。
●WHO(世界保健機関)が飲料水の水質基準として定めた区分
軟水・・・・・・0~60未満
中程度の軟水・・60~120未満
硬水・・・・・・120~180未満
非常な硬水・・・180以上
日本の全国 5,835 施設における水道水中の硬度は平均44。
(平成 25 年度水道統計水質編 文部科学省 2015)
硬度が100を超えているのは、日本全体の3%弱。
「日本の水道はよくなりますか」〈中西準子対談シリーズ(1) 小島貞男さん〉(亜紀書房)には、「粉石けんは、カルシウム硬度が50ppm以下なら、沈殿生成量は0。その後、硬度とともに沈殿生成量は増加する。 しかし、硬度100ppmの近辺での影響はさほど大きくはない。」と記されています。
石鹸百科「二価金属イオンが洗濯用洗剤に及ぼす影響」を参照してください。
以上のことから、日本の水道水が如何に洗濯に石けんが使いやすいか、がよく分かります。
したがって、石けんで洗濯をする場合、硬度のことよりも、以下の2点を重視することが大切です。
1)衣類の汚れは概して酸性なので、汚れがひどいときほど酸性石けん(石けんカス)ができやすい石けんの特性をよく理解して、洗濯液が酸性に傾かないようにする。
2)石けんに限ったことではないが、ふろの残り湯を使うなど、洗濯には温水使うこと(特に水温の低い時期)。
当ブログ「14:洗濯には残り湯を使うべし」をご参照ください。
●簡単な硬度の計算方法
硬度[mg/L]=(カルシウム量[mg/L]×2.5)+(マグネシウム量[mg/L]×4.1)
代表的なミネラルウォーターの硬度は以下の通り
北アルプスのおいしい水、安曇野の天然水・・20~30
富士山麓の水、南アルプスの天然水・・・・・20~30
ボルヴィック・・・・・・・・・・・・・・・50~60
六甲のおいしい水・・・・・・・・・・・・・60~80
阿蘇の宮水・・・・・・・・・・・・・・・・110~120
エビアン、ヴィッテル・・・・・・・・・・・290~310
コントレックス・・・・・・・・・・・・・・1500~1600
次回は「17:石けんは肌に優しい」です。
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アルカリ助剤として炭酸塩を配合した洗濯用粉石鹸です。洗濯液の弱アルカリをよく保ちスッキリと洗い上げます。残り湯など20~40℃の温水を使い、事前によく溶かすのがオススメ。