ほかにもっと安くて、安全で簡単な方法があるのに…
「重曹の使い方完全マニュアル!」「重曹の活用法はこんなにある!」なんて仰々しい記事を見たことがあると思いますが…
セスキや過炭酸ナトリウムを使えば簡単にできることを、洗浄力の弱い重曹にできもしない、あるいは効果が薄いことを無理やりやらせようとする。
なぜ重曹に苦行を強いるのか。
●重曹ペースト
そもそも重曹ペースト、というのがおかしい。
ペーストとは流動性と高い粘性のある物質のことであって、重曹はペーストにはならない。「壁面の汚れなどに重曹を吸着させてから掃除をする」といいますが、壁にくっつけるのは至難の業。
やらない方がいい。真に受けてやった人は気の毒。
●重曹スプレー
重曹を水に溶かすのはやめた方がいい。
溶けにくくて、スプレーが目詰まりして困ることになる。
セスキ炭酸ソーダだったら、溶けやすいし、洗浄力もはるかに優れている。
ただし、65℃のお湯に溶かすなら、重曹はよく溶けるし、重曹水(pH8.2)が炭酸ソーダ水(pH11.2)になるからセスキ炭酸ソーダ水よりも強力な洗浄水になる。
ただし、アルカリが強くなる分だけ、取り扱いは要注意。
●重曹と過炭酸ナトリウムのペースト
「カビ取りのために、重曹と過炭酸、40℃のお湯を2:2:1で混ぜて、10分間なじませ、出来上がったペーストをカビに張り付け、ラップを張る」という記事がありました。
労力と資源のムダ遣いの良い例です。
酸素系漂白剤は過炭酸ナトリウム(pH10.5)だと思いますが、重曹(pH8.2)を混ぜれば、
過炭酸ナトリウムのカビを分解する力を落としてしまう。
また、40℃のお湯で10分もなじませていたら、過炭酸ナトリウムの酸素が飛んでしまう。
重曹も過炭酸ナトリウムも壁にへばりつくようなペーストにはならない。研磨としてなら重曹は単独で使うべき。
●湯船でつけ置き洗い
「洗面器やお風呂の椅子、蓋、子供のおもちゃなどを全て漬けこみ、一晩置きましょう」と言いますが、一晩置いても、二晩置いてもそんなにきれいになりません。
重曹の汚れを引き剥がす力は非常に弱いのです。
過炭酸ナトリウムを40℃のお湯に溶かせば簡単にできること。
●浴室のカビ取り、洗濯槽の掃除
カビ取りは通常過炭酸ナトリウムや次亜塩素酸ナトリウムの強い酸化(他の物質の化学結合を切る作用)力を利用して、汚れを分解したり、殺菌することによって行うもの。
重曹には浴室や洗濯槽のカビを分解する酸化力はありません。
これも重曹の大量ムダ遣いになる。
本ブログ「06:洗濯槽の掃除には重曹は使えない ~重曹にはカビをはがす力はない」をご参照ください。
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過炭酸ナトリウムの活性酸素パワーで汚れを落とす、新発想のカビ取り剤です。次亜塩素酸など、塩素系の薬品は不使用。あの「ツーン」としたにおいがありません。